easm.jpASM / EASM 解説・製品比較
Attack Surface Management

ASM / EASMとは
アタックサーフェス管理の要点と、製品の選び方

ASMは「攻撃者から見える自社のIT資産を、継続的に見つけて管理する」取り組みです。経済産業省が2023年に導入ガイダンスを公開して以降、国内でも導入が進みました。このページでは、用語の整理、ガイダンスの要点、脆弱性診断との違い、そして製品を4つのタイプに分けた比較と選び方を解説します。

評価時点:2026年8月23日 / 掲載9製品 / 評価方法はページ末尾に明記
企業の外側に存在する公開IT資産のイメージ

ASM・EASM・CAASM・脆弱性診断の違い

「外から見るか/内から見るか」「資産を見つけるか/深く調べるか」の2軸で整理すると、4つの言葉の関係が一度で分かります。

外から(攻撃者視点) 内から(社内台帳) 見つける(発見) 深く調べる(評価) EASM(ASM) 知らない公開資産を、攻撃者と同じ方法で インターネット側から継続的に発見する 例:野良サーバ、忘れられたドメイン、   子会社のクラウド資産 CAASM CMDB・EDR・クラウド等の社内データを API連携で統合し、資産台帳を一本化する 例:管理ツールごとにバラバラな台帳の   突き合わせ、保護漏れの発見 脆弱性診断(ペネトレーションテスト) すでに知っている資産を、外部から深く 点検する。年1回など「点」の検査 例:公開Webアプリの手動診断 脆弱性管理 社内の既知資産をスキャナで継続評価し、 パッチ適用の優先順位を決める 例:Tenable / Qualys等での定期スキャン EASMは「知らない資産を見つける」、診断は「知っている資産を深く調べる」
経産省のガイダンスが使う「ASM」は、実質的にEASM(外部アタックサーフェス管理)を指しています。本サイトでは両者を同義として扱い、内部資産の統合管理はCAASMと呼び分けます。→ EASMとCAASMの違い
EASM vs CAASM

EASMとCAASMの違い — 外から見るか、内から見るか

どちらも「攻撃対象領域の管理」を名乗りますが、見ている場所とデータの出どころが正反対です。混同したまま製品を選ぶと、欲しかった答えが出ません。

EASMとCAASMの関係図

一言でいうと

EASM — 外から見る

攻撃者と同じ立場でインターネット側から自社を眺め、知らなかった公開資産を見つける。社内の台帳には一切頼らない。データ源はDNS、証明書、WHOIS、ポートスキャン、インターネット全域のインデックス。

CAASM — 内から見る

CMDB、EDR、クラウド管理コンソール、ID基盤などの社内ツールにAPIでつなぎ、バラバラな資産台帳を一本化する。得意なのは「EDRが入っていないPCはどれか」のような保護漏れの発見。

比較表

EASMCAASM
見る場所インターネット(外部)社内ネットワーク・クラウド・SaaS(内部)
データ源公開情報とスキャン。社内システムへの接続は不要既存ツールのAPI。接続先が多いほど精度が上がる
見つかるもの野良サーバ、忘れられたドメイン、子会社のクラウド、委託先が立てた環境台帳の重複・欠落、EDR未導入端末、退職者アカウント、パッチ未適用の内部サーバ
得意な問い「うちの外側に何が見えているか」「うちが持っている資産は全部で何か、守れているか」
導入の前提トップドメインがあれば始まる接続するツール群が社内に揃っていること
経産省ガイダンスとの関係ガイダンスの「ASM」はほぼこれガイダンスの対象外。内部の資産管理として別立て
製品例Cortex Xpanse、CyCognito、ANTERAS ASM、Defender EASMAxonius、JupiterOne、Rapid7 Surface Command(EASMも統合)

どちらから始めるか

まずEASMが向いている企業

社内の資産台帳がそもそも整っていない、子会社・海外拠点が多い、DX部門や委託先がWebサイトを作りがち、経産省ガイダンスへの対応を求められている。この条件に一つでも当てはまるなら、EASMから始めるのが早い。社内に何も接続せずに結果が出るため、初回のレポートがそのまま経営説明の材料になる。

CAASMが先に必要な企業

EDR・脆弱性スキャナ・クラウド管理ツールが揃っているのに、各ツールの台帳がずれていて「結局うちの端末は何台か」に答えられない企業。外側の露出より、内側の保護漏れのほうが大きいリスクになっている段階。

両方を一つで済ませたい企業

Rapid7 Surface CommandやTrend Vision One CREMのように、EASMとCAASMを同じ資産グラフで扱う製品がある。外部の露出が内部のどの資産に繋がるかを辿れるのは強いが、EASM単体の発見深度はType A製品に譲る。詳しくは製品の4つのタイプを参照。

迷ったらEASMから。CAASMは社内ツールが揃ってから効く技術で、EASMは今日から効く技術です。

経産省「ASM導入ガイダンス」の要点

2023年5月公開。難しく書かれていますが、企業がやるべきことは4つのサイクルに集約されます。

  1. 1
    攻撃面の発見自社に関係するドメイン・IP・クラウドを、社内の台帳に頼らず外部情報から洗い出す。ここで「知らなかった資産」が見つかることがASMの価値です。
  2. 2
    情報収集見つけた資産について、動いているサービス・ソフトウェアのバージョン・証明書などの情報を集める。
  3. 3
    リスク評価集めた情報から、既知の脆弱性や設定不備を特定し、深刻度と事業影響で優先順位を付ける。
  4. 4
    対応担当部署に引き渡し、修正・停止・監視のいずれかを実施する。1に戻って繰り返す。

ガイダンスが強調している点

「資産の網羅的把握」が出発点であること。資産を知らなければ脆弱性診断の対象にすら入りません。また、ASMは一度やれば終わりではなく継続運用であること、そして発見した資産が本当に自社のものかを確認する工程(帰属判定)が重要であることを繰り返し述べています。

企業が結局やること

①トップドメインと主要IPを起点にASMツールで外部資産を洗い出す ②見つかった資産を部署ごとに「自社のもの/違う」と確定させる ③重大なもの(公開された管理画面、サポート切れのVPN機器など)から直す ④月次で差分を見る。この4つを回せる体制があれば、ツールの選択はその次の話です。

EASMと脆弱性診断はどう違うか

どちらも「外から調べる」ので混同されがちですが、役割は補完関係です。

EASM脆弱性診断
対象知らない資産も含めた全公開資産指定した既知の資産
頻度継続(日次〜週次)点(年1〜数回)
深さ浅く広く(露出・バージョン・既知脆弱性)深く狭く(ロジック欠陥・認可不備まで)
向いている問い「うちの外側に何があるか」「このシステムは安全か」
組み合わせ方EASMで資産と優先度を出し、高リスクの資産だけに脆弱性診断を当てる。EASMツールの中には、検出した脆弱性の実在を無害なエクスプロイトで確かめる「検証」機能を持つものがあり、診断との境界は近づいています。

EASM製品の4つのタイプ

「ASMツールランキング」という比較は乱暴です。目的が違えば選ぶ製品も変わります。

Type A

Pure EASM

インターネット全域のスキャンデータや組織構造の推定から、未知資産の発見と悪用可能性の検証に特化。グループ企業・海外拠点が多い企業向け。

Type B

国内ASM

日本企業の運用に合わせ、専門家の判定やサポート、保険等を組み合わせた国産サービス。経産省ガイダンス起点で始める企業の基準になる。

Type C

Web ASM

Webサイト・API中心の発見と脆弱性診断を一体化。2026年7月以降はプラットフォーム/ネットワーク領域にも検査範囲を拡大。DX部門が増やしたサイトの棚卸しに向く。

Type D

Exposure Management

EASMをCAASM・脆弱性管理・CSPMと統合したプラットフォーム。既にそのベンダーの製品を使っている企業が「外側を足す」ときの選択肢。

ASMの運用代行(マネージドサービス)は製品とは別の選択肢です。AGEST EASMアドバイザリー(CYFIRMA基盤)や各代理店の運用支援は、比較表には載せず運用代行の項で扱います。

製品比較(8軸100点・タイプ内順位)

これは公開情報ベース評価です。総合点はタイプ内でのみ比較してください。N/Aは「機能がない」ではなく「公開情報で確認できなかった」軸で、当該配点分を減点しています(情報を公開しないことも選定上のリスクとみなすため)。

製品総合発見
20
帰属
15
脆弱性
15
検証
15
優先度
10
国内
10
連携
10
価格
5
課金・入口
Type A — Pure EASM
Cortex XpansePalo Alto Networks/ラック・テクマトリックス・ネットワン8654454353資産数/要問合せ
CyCognito日立ソリューションズ8555454243要問合せ参考: 2020年提供開始時 年額375万円〜(代理店公開)
Tenable One ASMネットワールド6543424332新規契約はTenable Oneの一部
Microsoft Defender EASMAzure直販・CSP6133323435資産数×日/30日無料
Type B — 国内ASM
ANTERAS ASMマクニカ(旧Macnica ASM)7645334533要問合せ
GMOサイバー攻撃ネットde診断 ASMGMOサイバーセキュリティ byイエラエ / 情報確度B(帰属判定が非公開)563N/A433523要問合せ/保険・初動対応付帯
Type C — Web ASM
AeyeScan Web-ASMエーアイセキュリティラボ7134433534定額(ドメイン数無制限)
Type D — Exposure Management
Rapid7 Surface CommandRapid7 Japan6533333354トライアルあり
Trend Vision One CREMトレンドマイクロ / 情報確度B(帰属判定が非公開)613N/A434542Vision Oneの一部のみ

各軸は0〜5。総合点=Σ(軸スコア÷5×配点)。スコアはベンダー公式ドキュメント・プレスリリース等の公開一次情報に基づく2026年8月23日時点の評価で、半期ごとに見直します。情報確度の注記がない製品は全8軸を公開情報で確認済みです。代理店名は各社公式サイトで確認したもののみ記載。

選定ポイント

比較表の8軸を、検討時に聞くべき質問に言い換えました。順番は検討の流れです。

  1. 01
    シードなしでどこまで見つかるかトップドメインだけを渡して、子会社・海外拠点・ブランド名の資産まで出てくるか。シード型(Defender EASM、Rapid7等)は初期リストの質がそのまま結果の質になります。
  2. 02
    「本当に自社の資産か」をどう示すかEASMで最も手間がかかるのは発見ではなく帰属の確認です。証明書・WHOIS・登記などの根拠が画面で見えるか、確信度が出るか、人の判定(ANTERAS等)が入るか。誤帰属は課金にも響きます。
  3. 03
    検出した脆弱性を「推定」で終わらせないかバナーからのCVE推定だけか、実際に外から到達・悪用できるかまで検証するか(Xpanse AST、CyCognitoのAI Pentesting)。検証がある製品は対処の説得力が違います。
  4. 04
    誰が一次サポートをするかUIの日本語化と、問い合わせに日本語で答える体制は別物です。海外製は代理店が一次窓口になるか、二次は海外に戻るかを確認します。
  5. 05
    課金単位と上限資産数課金(Xpanse、CyCognito)、資産×日課金(Defender EASM)、定額(AeyeScan)。発見資産が増えるほど課金が増える設計では、予算の上限設定ができるかを聞いてください。Tenable(新規契約)・Trendのようにプラットフォーム型の契約体系を採る製品もあります。
  6. 06
    見つけた後、誰がどう動くかチケット・チャット・SIEMへの連携と、対処ステータスの管理が製品内にあるか。連携が弱い製品は、発見リストが溜まるだけになります。体制がなければ運用代行も選択肢です。

製品を入れる前に、無料で自社の外側を見る方法

ASMツールの検討前に、30分で「知らなかった資産」が1つは見つかります。

証明書透明性ログ(crt.sh)

自社ドメインで発行された証明書を全て検索できます。忘れられたサブドメインや、委託先が勝手に作った環境が出てきます。

Shodan / Censys

自社のIPレンジや組織名で検索すると、公開されているポート・サービス・バージョンが分かります。管理画面やRDPの露出はここで気づけます。

各社の無料スキャン

Defender EASMの30日無料、Rapid7のトライアルなど、製品版を無料で試せるものがあります。まず自社で1回回してから要件を書くと、選定が早くなります。

運用代行(マネージド)という選択

発見後に動ける人がいない場合、製品を買うより運用代行のほうが機能します。AGEST EASMアドバイザリー(CYFIRMA基盤)、ラック・テクマトリックス・日立ソリューションズなど代理店の運用支援が該当します。

評価方法と運営方針

評価方法

8軸(発見20・帰属15・脆弱性15・検証15・優先度10・国内10・連携10・価格5)を各0〜5で採点し、配点を掛けて合算します。根拠はベンダー公式ドキュメント、プレスリリース、分析会社の公開レポートのみで、ベンダー同士の比較記事や営業資料は使いません。根拠が取れない軸はN/Aとして減点します。

利益相反

本サイトはベンダーから掲載料・紹介料を受け取っていません。評価は公開情報に基づく独立した見解であり、スコアの更新履歴は本ページに評価時点を明記して残します。

ASM導入・製品選定のご相談

自社の規模と体制に合うタイプの見極め、要件定義、複数製品の比較評価をお手伝いします。

相談例:「EASMとCAASMのどちらから始めるべきか」「PoC候補を2〜3製品に絞りたい」「経産省ASMガイダンスに沿った体制を作りたい」

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